移乗の基本は利用者、介助者双方が安全で、安心で、楽であることです。人が人を持ち上げたり、強引に立たせたりすることは、してはいけない介護動作の基本です。
介護保険で定義する移乗機器には移動機器(段差解消機など)まで幅広く含まれています。移動と移乗、そして生活姿勢が大切なのです。
適切な福祉用具を利用すれば、自分でできる部分が多くなり、介助者の負担が軽減されます。全介助であろうとも、利用者・介助者双方が安心して安全な移乗が実現できます。
車いすを使えば、例え歩行ができなくとも、立位がとれなくとも、自分の好きなところにいけ、やりたいことがやれるようになります。移動の自立が可能な人は移乗が容易になることによって、真の意味の移動の自立が獲得できます。入浴のように難しく、諦めがちな動作も、快適に、軽い介助で実現できる可能性が十分にあります。
場面ごとに利用する福祉用具は変わりますし、利用者の身体状況によっても用具が変わるとともに使い方も異なります。介助者の能力によっても福祉用具を変えたり、使い方を変えたりします。
移乗という動作は危険を伴う動作であり、福祉用具を適切に選択し、個々人に応じた使い方をていねいに伝えていくことが大切です。用具というハードウェアに関する知識だけでは何の意味もありません。
選択と使い方という知識が伴ってはじめて移乗機器の支援ができます。
- 足を踏み換えること(回転する)ができるかがポイントです。
できない場合には立位を維持し、回転を助ける方策を考えます。 - 立位をとるためと維持するための用具と、介助者の介助の仕方が大切です。利用者の重心を前方に誘導し、ひざが折れないような配慮を考えます。
- 座位で滑りながら移乗する方法を考えます。利用者の身体機能によって利用する用具を考え、個々にあった移乗方法を考えます。一人一人異なる用具、方法を提案しましょう。
- 介助者の能力が高ければ座位移乗ができます。条件は骨盤が後傾していないことです。
- リフトを使用します。
- スロープで解決するよりも段差解消機の方が安全で楽に移動できます。特に歩行車や歩行器の場合、スロープは危険ですが、段差解消機は安全です。すなわち、段差は歩行補助用具を利用する人から車いすの人まで、幅広く安全に楽に利用することができます。スロープは非常時の対策や一時的な対策に利用するものです。
介助者も、利用者も快適な移乗が可能に
- 支柱を軸に360度回転。
広い範囲でベッドから移乗できます。