高齢によって筋力が低下したり、何らかの疾患の後遺症で身体に不自由が生じたら、「支え」がいろいろな場面で必要になります。それを実現するのが手すりです。
ちょっと古い家を訪ねてみると、壁や柱に手あかで色が変わっている部分があります。段差のところや階段に多く見られます。これが手すりの代わりにしている部分です。
よく高齢者の家を訪問したら、この色が変わっている部分に注目して動作を確認すればいいと言われますが、高齢者ばかりでなく、いろいろな人がちょっとした支えを必要としているようです。必要というよりは、あれば動作が楽になるという程度かもしれませんが、手あかの色がつくほどに頻繁に利用しているということです。
元々ヒトが2本の足で立ち、歩くということは力学的には不安定な状態ですから、いろいろな場面で「3本目の足」(支持部)が欲しくなるのかもしれません。
まずはどのような支えが必要とされているのかを確認し、最適な解決策を考えましょう。その上で、制度的な対応を議論しましょう。手すりには以下のような役割があります。
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歩行時の安定を維持する役割です。連続した平行な支えが必要になります。
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玄関段差のような1段ないしは2段程度の段差から、連続した段差である階段などを容易に安全に通過するために利用します。上昇時の体重の持ち上げ補助、動作の安定性の維持、下降時の体重支持などの役割を持ちます。1段の段差なら縦手すりや横手すり、斜め手すりが利用されます。階段では斜めの連続した手すりが必要です。
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床から立ち上がるとき、座位から立ち上がるときの重心の前方への誘導、体重の持ち上げ補助や動作の安定性のために利用されます。もちろん逆の動作である立位から床やいすに座るときにも体重の支持や動作の安定のために利用されます。
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ケアプランを確認し、生活目標などの全体像を確認します。もちろん身体機能や疾患などの基本情報は詳細を知る必要があります。
どのような場面にリスクや動作の困難さが存在するのか、聞き取りとともに身体機能や家屋の現状から推察します。
本人や家族からの要望だけでなく、生活動作全体を通じてリスクや動作の困難さを推察することが大切です。本人や家族の要望は一部分しか強調されていない可能性があります。隠れているニーズがあるかもしれません。 -
どのような用具が適しているか、考えます。実際に本人の動作を確認し、環境を確認し、候補を決めます。介護保険の利用点数も確認しましょう。
ケアマネ、PT/OT、の考えを確認しましょう。ヘルパーや看護師の考えも確認できればベストです。意見が異なった場合には、理由と根拠を議論しましょう。何故その方法を採用するのか?その利点と欠点は? などきちんと確認しておくことが必要です。
できれば議論の内容を記録しておくとよいでしょう。あとで検証するときに何かと役に立ちます。特に住宅改修の手すりの場合にはきちんと図面にしておくことが大切です。 -
福祉用具で対応するならサンプルを持ち込んで、住宅改修で対応するときは吸着型や磁石で固定できる手すりを利用したり、福祉用具の手すりを代替品として持ち込んで、実際に動作をして、確認をします。
家の中のさまざまな移動をサポート
- 取り付けは簡単ワンタッチ、レバーを上下するだけ。
- 組み合わせにより立ち座りから歩行までをサポート。
- 高さ18cm〜36cmのあがりかまちでご使用ください。
- 独自の挟み込み方式で洋式便器にしっかり固定。